【水墨画】を独学で楽しむために|まず技法を知ることは上達の第一歩!

こんにちは
水墨画家のCHIKAです。

現代では動画を見て
技のいろいろを習得する
ことも可能になりました。

全く良い時代に
なりましたね。
誰でもが画家になれる
時代がきたのですから。

あなたはどのような
方法で学習を進めてますか?

今回は水墨画を描くために
避けては通れない
技法について書いてみました。

水墨画はとにかく
実践していく中で
習得したほうが
はるかに速いです。

それでもどんな技法が
あるのかを知っておくことは
チャレンジ出来る
楽しみにつながります。

「この技法を使ったら
こんな素敵な絵が描けるんだ!」

と感動してもらえるように。

まず押さえておきたい
技法を一つからでも
日頃の練習に
取り入れていきましょう。

目次

水墨画の技法/墨技法《三墨法》

三墨法とは

筆に墨をつける
まずその技法を覚えます。

一筆の中に
水、淡墨、中墨、濃墨
これだけを仕込みます。

このグラデーションを作って
紙に置いてみます。

側筆(筆を寝かせて)にして
置いてみると
水~濃墨のきれいな
濃淡が出来ています。


これが基本中の基本、三墨法です。

【水墨画】三墨法の作り方①

  1. 筆にたっぷり水を含ませる
  2. 筆の穂先を揃える
  3. 筆先の余分な水分をタオルに吸取る
  4. 筆先から1/3まで水を含ませる
  5. 次に筆先を倒して硯の濃墨をつける
  6. 先に含んでいた水を辿るように
    墨が徐々に上がっていく。
    その上がり方で、筆先から順に
    濃墨→中墨→淡墨が出来る。
  7. この方法は、水・墨・時間の
    関係で三墨の割合が一定ではない。

【水墨画】三墨法の作り方②

  1. 筆にたっぷり水を含ませる
  2. 筆の穂先を揃える
  3. 根元の余分な水分をタオルに吸取る
  4. 穂先に硯の濃墨を少量付ける
  5. 絵皿で馴染ませて淡墨を作る
  6. 次に⑷と同じ要領で濃墨を付ける
  7. 絵皿で馴染ませて中墨を作る
  8. 穂の半分くらいまで中墨を含ませる
  9. 最後に穂の片面だけに
    硯から濃墨をつける
  10. 濃墨を付けた後、
    少しおいて馴染ませる

【水墨画】三墨法①②の注意点

①も②も大きく違いは
ありませんが、
注意したい点があります。

これらの作業は、
その都度、絵皿で墨の調子を
確認しながら作ります。

筆に墨を付けたら
しっかり馴染ませて
筆に含ませます。

この加減でその時々の
濃淡が左右されます。

なかなか慣れるまで
難しく感じます。

水墨画を気軽に始めるには|初心者はまずこの道具を揃えよう

「お手本どおりにいかなくて正解」
くらいの気持ちでやっていきましょう。

やりながら覚えることが
一番の近道です。

 

【水墨画】三墨法の作り方③

もう一つ、
淡墨を先に作っておく方法
あります。

淡墨はたっぷり筆に含ませて
使うのでやりやすいかもしれません。

筆にたっぷり水を含ませる
筆の穂先を揃える
穂の根元の余分な水分をタオルに吸取る

淡墨を作る
絵皿に水を半分ほど入れておく
穂先に硯の濃墨を少量付ける
穂先に付けた濃墨を⑷の
絵皿に溶いて淡墨を作る

中墨を作る
次に⑸と同じ要領で濃墨を付ける
絵皿で馴染ませて中墨を作る。
墨のついた穂をクルクルと
皿の上で回転させながら
穂の1/3くらいまで中墨を含ませる

濃墨を作る
最後に穂の片面だけに
硯から濃墨をつける
濃墨を付けた後、
少しおいて馴染ませる

濃・中・淡墨を
あらかじめ作っておく
方法もありますが、
出来るだけその都度、
墨の濃淡のバランスを
考えて作ることを
意識しておきましょう。

【水墨画】三墨法の効果

三墨法で作った
グラデーションは
立体感を表現する
ことが出来ます。

グラデーションが
上手くいくと
ぐっと表現の幅が
増えていきます。

【水墨画】三墨法で描く



水墨画の技法/墨技法《破墨法》

【水墨画】破墨法とは

先に描いた墨線(墨面)に
後から濃さと水分量の違う
墨を重ねます。

すると、先に描いた
墨の調子が変化します。

その墨の変化によって
表情をつくる方法です。

言葉ではなかなか
分かりづらいですね。

【水墨画】破墨法の効果

効果を出すには
先に描いた墨が
乾ききらないうちに
墨を重ねることです。

ものの質感を
表すことが出来ます。

【水墨画】破墨法で描く


水墨画の技法/墨技法《撥墨法》

引用:「破墨山水図」雪舟/ウィキペディアより

【水墨画】撥墨法とは

墨をそそいだり
撥ね散らかすことで
出来た偶然の形から
山や雲、岩の形に見立てて
描きだすことを言います。

それまでの伝統的な
輪郭線を無視した
前衛的な表現方法です。

【水墨画】撥墨法の効果

偶然性の高い表現方法です。

それだけに
観る者を納得させるだけの
造形感覚をもって臨まないと、
その効果は半減しかねません。

パフォーマンスの
面白さを体感出来る
水墨画ならではの手法です。

水墨画の技法/墨技法《積墨法》


この技法は現代南画家の
方々がよく描いているようです。

【水墨画】積墨法とは

墨を重ねる表現方法です。

薄墨を丁寧に重ねていきます。

濃墨を使う場合は
絵を引き締めるため、
最終段階にします。

【水墨画】積墨法の効果

墨の重ね具合によって
様々な表現方法が可能です。

何度も重ねることで
絵に厚みが出来て
ものの質感、立体感
奥行きが表現出来ます。

【水墨画】積墨法で描く

水墨画の技法/《たらし込み》

引用:ウィキペディアより 「蓮池水禽図」俵屋宗達(京都国立博物館蔵)

【水墨画】たらし込みとは

墨や絵具を塗って紙を濡らし、
乾かないうちに他の濃さの墨や
絵具を置いてにじませる
ぼかしの技法です。

この技法で表現したい時は
にじまない紙を使います。

【水墨画】たらし込みの効果

立体感や動きを出すのに
使われる技法で、
装飾性を助ける効果も
あります。

【水墨画】たらし込みの作品

引用:ウィキペディアより 俵屋宗達《牛図》左幅一部

水墨画の技法/《減筆法》


この技法はかなり
高度な技法になります。

すぐには表現出来ないかも
しれませんが、
チャレンジしたくなる
表現方法です。

細部まで表現しないで
本質を描き出すのが水墨画。
とすれば最も水墨画らしい
表現方法と言えます。

【水墨画】減筆法とは

古典的な減筆表現で、
少ない筆数で対象物を
描き出す方法です。

ということは、
線の肥痩や強弱、濃淡
速度の変化など
線や面の表情を
多彩にすることが
求められます。

【水墨画】減筆法の作品

引用:ウィキペディアより 「李白吟行図」 梁楷

水墨画の技法/筆技法《先隈》

【水墨画の技法】先隈とは

先端を濃く描くことです。

【水墨画の技法】先隈の方法

  1. 筆の穂に淡墨を含ませる。
  2. 穂先に濃墨を少しつける。
  3. 筆を少し寝かせて運筆する
  4. 筆を立ててから運筆すると
    始まりが丸くなる

【水墨画の技法】先隈で描く

水墨画の技法/筆技法《元隈》

【水墨画の技法】元隈とは

筆の根元に濃墨を
つけて描く方法

【水墨画の技法】元隈の方法

  1. 筆の穂全体に
    濃墨を含ませる。
  2. 先端の濃墨をティッシュペーパーで
    とってしまう。
  3. 筆洗の中で先端を洗う。
  4. そのまま水を充分含ませる
  5. 濃墨のついた側面を
    しっかり紙に押し付ける
    ように運筆する

水墨画の技法/筆技法《片隈》

【水墨画の技法】片隈とは

片側を濃くすることで
立体感や奥行きを
表現します。

【水墨画の技法】片隈の方法

  1. 穂全体に淡墨を含ませる
  2. 穂の1/3ほど濃墨が
    浸透するように筆を
    皿の中で揺する
  3. 筆の腹を使って運筆する


画像の一番下が片隈
上二つの✖印は
[上の✖]濃墨のつきが悪い
[下の✖]濃墨がつき過ぎ

水墨画の技法/筆技法《両隈》

【水墨画の技法】両隈とは

筆跡の両側が濃墨になることで
対象物の輪郭を
強調して描く方法。

【水墨画の技法】両隈の方法

  1. 穂全体に淡墨を含ませる
  2. 絵皿の縁で穂の一方が
    平らになるよう整える
  3. ②で整えた穂の両側に
    濃墨を付ける
  4. ③の形を崩さないように
    紙において運筆する。

水墨画の技法/筆技法《潤筆》



潤いのある質感、滲みが
表現できます。

【水墨画の技法】潤筆とは

穂に含ませる水の量を多くして
ゆっくり運筆する方法

水墨画の技法/筆技法《渇筆》

かすれた硬い表情や
動きが表現できます。

【水墨画の技法】渇筆とは

穂に含ませる水の量を
少なくして素早く運筆する

水墨画の技法/筆技法《割り筆》


動物の毛描きや松葉など
硬質な表現が出来ます。
《破筆》とも言います。

【水墨画の技法】割筆とは

水の量を少なめに
穂先をバラバラにして
素早く運筆する方法です。

割筆

【水墨画の技法】割筆で描く

  1. 水量を少なめに穂に墨を取る
  2. 穂を絵皿に押付けて
    穂先をバラバラにする
  3. 紙に叩きつけるように
    置いていく

水墨画の特殊技法いろいろ


自分の表現したいものが
いつもの筆では物足りない、
と思われたときは、筆を
工夫してみましょう。

【水墨画の技法】刷毛で描く


竹筒を描いたり、
紙の広い面を均一に
空や山、水面など
早く描くのに刷毛を使います。

その他にも刷毛の広い面に
濃・中・淡墨を含ませ
面白いぼかし表現が出来ます。

刷毛でも羊毛のような
柔らかいものと
毛質の硬い刷毛があります。

【水墨画の技法】2本の筆で描く


平行な線を引きたい時など
2本の筆を同時に
運筆します。

それぞれ含ませる
墨と水の量を加減すれば
面白い線が引けそうです。

【水墨画の技法】段ボール片を使う


筆以外のものも
質感を出したい時
には使います。

段ボール片を使うと
渇筆で木の幹などが
表現出来ます。

他にも少し硬めの葉っぱを使ったり
面白い質感の出るものを
いろいろ試して
工夫してみましょう。

【水墨画の技法】紙を使う


広告紙等を適当に丸めて墨を付けます。
紙はそれ自体が水分を
含まない方が効果が出ます。

木々の葉や山のこんもり感を
出すときなど。
叩くようにリズミカルに
置いていきます。

【水墨画の技法】指を使う

『五百羅漢図』一部 引用:漂白の天才画家 池大雅/日曜美術館より

「指頭法」と言います。

指の腹や爪、掌に
墨をつけて描きます。

パフォーマンス的な
面白い表現方法ですが、
墨の含みが筆とは違うので
使いこなすには
難しいそうです。

【水墨画の技法】敲筆法


敲筆法とは
筆管を指や他の筆の筆管を
使って軽くたたき、
筆に含ませた墨や絵具を
紙面に飛び散らせる方法です。

最後に

いかがでしたか?

主な技法を書きました。

まだまだこの他にも
いろいろ技法はあります。

墨、紙、筆の偶然に近い
組み合わせによって
多彩な表現が可能な
水墨画です。

中国からの流れの為、
技法の名称は少々
難しく聞こえますが、
とにかく実践してみることです。

凝ったものや
細かい表現でない限り、
意外と水墨画らしく
描けるものです。

中上級者でないと
表現出来ないという
ことはありません。

お手本をこなして
次の段階にいく時は、
いろいろとチャレンジして
表現の幅を広げて
いってください。

初心者であっても
あまり技法に囚われず、
今出来る表現を駆使して
チャレンジしていくのが
ベストではないでしょうか。

まとめ

◎水墨画の技法を知る
《墨技法》 三墨法、破墨法、たらし込み
《筆技法》 先隈、片隈、潤筆、渇筆
《特殊技法》 指頭法、敲筆法  などなど

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ABOUT US

はじめまして 水墨画作家のCHIKAです。水墨画を独学で学んだ経験を活かし、全くの独学でも楽しめる方法を日々trial and errorで実践中。“変化・継承する素晴らしさを自然から学びたい”思いで里山暮らしを体験中。野鳥好き・猫好き。アクリル画にも挑戦中。京都生まれ