【水墨画の描き方】初夏の花/アヤメ、カキツバタ、花菖蒲の描き分け方

こんにちは 水墨画家のCHIKAです。

「いずれあやめか、かきつばた」

カキツバタも花しょうぶも
アヤメもすべてアヤメ科です。

一見違いはなさそうですよね。

今回は初夏を彩るアヤメ科の
花をその違いに着目しながら
描いてみたいと思います。

【水墨画の描き方】アヤメ科の違い


画の題名に花の名前を書くならば、
その特徴を出せれば良いですね。

それぞれ違いを花の図鑑等で
調べてみました。

【水墨画の描き方】あやめの特徴は?

あやめ(アヤメ科)
菖蒲、綾目とも書く。

  • 花びらの根元に網目模様がある
  • 葉脈は目立たず細長い
  • 乾燥した場所に群生
  • 5月上旬に花が咲く

【水墨画の描き方】カキツバタ

カキツバタ杜若(アヤメ科)

  • 花びらの根元に白い模様がある
  • 葉脈が目立たず、葉の幅が広い
  • 湿地に群生
  • 5月中旬に花が咲く

【水墨画の描き方】花しょうぶ

花しょうぶ(アヤメ科)

  • 花びらの根元に細長く
    黄色になっている
  • 葉は表に一本、裏に2本の
    はっきり目立った葉脈がある
  • 乾燥地や湿地に群生
  • 5月中旬から6月下旬に花が咲く

【水墨画の描き方】濃淡の加減


どんな画題でも水墨画を描く時に
考えたいのは濃淡の加減です。

【水墨画の描き方】花を濃く葉を薄く


花を濃いめに描く場合は
葉っぱは薄めにします。

【水墨画の描き方】花を薄く葉を濃く

逆に花を薄めに描く場合は
葉っぱは濃いめに描くと
良いと思います。

【水墨画の描き方】濃淡が大切!

水墨画では中間色を
大切にします。

つまりグラデーションです。
色のグラデーションと全く
同じ感覚です。

濃墨の中にもグラデーション
薄墨の中にもグラデーション

これを意識して改めて参考書や
作品鑑賞してみてください。

「この違いかぁ~」と
よりワンランク上の学びが
得られることと思います。

【水墨画の描き方】あやめ


わかりやすい特徴で
作画しやすいものとしては
この2点

  • 花びらの根元に網目模様がある
  • 葉っぱは細く葉脈は目立たない

【水墨画の描き方】花の部分

花びらの根元に網目模様

【水墨画の描き方】葉っぱの部分

他のアヤメ科に比べると
一番細目の葉っぱです。

【水墨画の描き方】カキツバタ


わかりやすい特徴としては、
この2点

  • 花びらの根元に白い模様がある
  • 葉脈が目立たず、葉の幅が広い

【水墨画の描き方】花の部分

花びらの根元部分に白い
描き残しを作ります。

花びらは根本部分に筆先を置いて
下に向かって引き下ろします。

角度を変えて描いてます。

【水墨画の描き方】葉っぱの部分

調墨した筆を勢いよく
上から下へ引き下ろします。

しっかり調墨して筆の穂を
上手く利用しましょう。

広いめの葉っぱを表現出来れば
良いですね。

【水墨画の描き方】生息地は湿地

風景として描かれる場合や
背景を入れる場合には、
カキツバタだけが水辺に
生息しているので注意です。

【水墨画の描き方】花しょうぶ

わかりやすい特徴としては、
この2点

  • 花びらの根元部分が無地の黄色
  • 葉脈はハッキリしている。
    表に一本、裏に2本

【水墨画の描き方】花の部分

花びらの根元部分の黄色は
彩色した時にはポイントに
なります。

墨一色の場合は、

  • 花びらを大きめに花脈を入れる。
  • 立ち上がっている花びらは
    少し小さめに描く など

    一枚目の画像は筆先を
    根元部分に置いて引き下ろし。

    二枚目の画像は筆先を

    葉先にもってきて運筆しています。

【水墨画の描き方】葉っぱの部分

葉っぱを比較するとすれば、
カキツバタとあやめの中間。

葉脈をハッキリ描いて
特徴付けてもよいかも
しれません。

【水墨画の描き方】違いの図

【水墨画の描き方】しょうぶ


最後は本物のしょうぶ菖蒲です。
薬草として大陸から伝わりました。

もともと日本には生息
していなかったため、
古代よりアヤメ(菖蒲)と
混同されて伝わっています。

このしょうぶはサトイモ科です。

実際はこんな姿

実のような花も長い葉っぱの
中ほどに付いてます。

日本人としては
ピンときませんね?!

でも葉っぱはそっくりで、
魔除けや邪気払いの意味で
描く機会もあるかも
しれません。

【水墨画の描き方】葉っぱの変化


蘭の葉っぱの要領で描く

多くの参考書に描かれている通り、
筆の動かし方は一緒です。

葉っぱの運筆は直筆・半側筆※で、
思い切りよく動かします。

※半側筆とは側筆ほど寝かさず、
やや傾けて描く方法のこと。
穂先は側筆と同じく面の片側を通る。

上から下へ
下から上へ

力を抜いたり入れたりして
直筆・半側筆の線の練習をすると
良いと思います。

まとめ

いかがでしたか?

実際の花にしても
名前のややこしさもあって、
区別がしにくいアヤメ科です。

1.アヤメ科の特徴
2.特徴を活かして描く
3.葉っぱの描き方

今回の描き分けを日頃のお稽古に
役立てて頂ければ嬉しい限りです。

ABOUT US

はじめまして 水墨画作家のCHIKAです。水墨画を独学で学んだ経験を活かし、全くの独学でも楽しめる方法を日々trial and errorで実践中。“変化・継承する素晴らしさを自然から学びたい”思いで里山暮らしを体験中。野鳥好き・猫好き。アクリル画にも挑戦中。京都生まれ