こんにちは
水墨画家のCHIKAです。
水墨画を始めるにあたって
よくある疑問質問です。
「何から始めたらいいの?」
「簡単そうだけど
道具の扱いが難しそう」
「技法が沢山あって難しそう」
そのお気持ちよくわかります。
では逆に質問です。
「憧れの水墨画家や作品は
ありますか?」
「水墨画の技法で描きたいですか?」
「描きたいモチーフはありますか?」
ここのところがハッキリして
目標が決まれば
水墨画はかなりやさしい存在に
変わってくるはずです。
今回は全くゼロから
独学で始めた経験を活かして
簡単に描くためにも
知っておきたいことを
お伝えしようと思います。
初心者の方、独学の方あるいは
これから始めようと思っている方に
少しでも参考になればと思います。
目次
【水墨画入門】独学で始めたこと
「独学でいこう」
そう思って始めた頃のことを
思い出して書こうと思います。
私は水墨画の名作品の中でも
長谷川等伯の「松林図屏風」に
感銘を受けました。
余計なものを描き込まず、
シンプルだけど観る人が
様々に想像して画の中で遊べる。
荒々しい心を静めて
無の境地にもなれる癒しの空間。
そんな水墨画を描きたい! と、
この画を目標に描き始めました。
道具の揃え方も扱い方も
全くゼロでしたので、
まずはいくつかの
簡単そうな参考書を
買い込みました。
【水墨画入門】初心者の疑問質問
始めるといろいろ
疑問質問が出てきます。
- 墨絵と水墨画は違うの?
- 書道の道具は活用できるの?
- 技法の名前が難しくてややこしい。
- 技法を覚えないと描けないの?
- 参考書の手順や図解を観ても
お手本どおりに描けない時は
今一つ理解出来ない - 濃墨、中墨、淡墨が
うまく扱えない - 色を使うと水墨画にならないの?
- どの参考本にも水墨画用に
適した紙にどのようなものがあるか
何も描かれていない。 - 紙が違うと思ったように描けない。
- どの参考書も載せられている作品が
どんな紙を使って作画されたかが
全く書かれていない - 作品として保管するのに
裏打ちが必要?
そこまで書かれている
参考書はない
【水墨画入門】初心者の疑問解決
参考本もいくつか参考にしましたが、
ピンポイントで自分の知りたいことを
解決してくれるものは
ありませんでした。
試行錯誤して
やっと得た情報を繋ぎ合わせ、
少しずつ実践の中で
「こういうことだったんだ!」
と納得して先に進む感じでした。
超時間かかってます(笑)
そしてわかったことが、
次のことでした。
- まずは自由に描いてみる
濃墨、中墨、淡墨で
線描き、面描き など - 紙もさまざまな種類があって
滲みかたもさまざま。
お手本どおりに描くためには
技法だけではなく、
紙の種類も近いものにしないと
お手本に近づけない - 濃墨、中墨、淡墨の扱い方は
筆の中に墨を仕込む方法
(三墨法)がとても大切で、
これによって水墨画ならではの
立体感のある描き方が出来る。 - また穂先を使って
細かい表現も可能。
一本の筆で線描きから
面的表現まで幅広く使える。 - また筆は初心者にとっては
少々お高く感じるけれど、
初心者でも水墨画らしい絵を
『筆が描かせてくれる』ことを実感 - 色も使ってみたいけれど
半分以上色を使うと
『墨彩画』になり、
水墨画とは言えない。 - あくまで墨の濃淡で
描くのが水墨画 - 作品として保管する場合、
裏打ちが必要。
簡単な裏打ちの方法を
身につけるか、
業者に頼むかどちらか。
最近ではいろんな作家さんが
動画を投稿されています。
道具の揃え方
道具の扱い方
紙の紹介
描き方のコツ etc
動画を観ればだいたいの
ポイントは掴めそうなので、
活用しない手はないと思います。
初心者の方のために ⇩ ⇩ ⇩
姿勢と運筆について ⇩ ⇩ ⇩
【水墨画入門】水墨画と墨絵
いろいろなところで
水墨画のようなモノトーンの
作品やデザインを目にします。
白と黒のモノトーンで描かれていれば
すべて「水墨画」と
考えてしまいそうですが、
ハッキリした違いがあるのです。
水墨画と墨絵の違いとは
⇩ ⇩ ⇩
【水墨画入門】水墨画の表現
【水墨画入門】水墨画の道具
一番の特徴は面的表現です。
それは水墨画用の道具を
使うとわかってきます。
《筆》
一本の筆に仕込んだ墨の濃淡で
立体感、質感、量感を
表現することです。
この濃淡の表現に慣れてくると
“塗る”という感覚が
薄れていきます。
何度も同じ箇所を
塗り重ねるのではなく、
一回で濃淡が描けます。
“塗る”よりも“置く”
そんな感覚が身についてきます。
《滲む紙》
素早く筆を走らせて
勢い(気)を表現する。
ゆっくり滲ませて
質感、量感を表現する。
《墨》
固形墨を使うと
黒一色ではないことに
気付きます。
いわゆる“墨に五彩あり”です。
水を上手に使えるようになると
墨ならではのグラデーションが
表現出来ます。
【水墨画入門】余白について
もう一つ大きな特徴は
余白を活かすことです。
西洋画と違って基本的に
光と影を描きません。
そのため墨の部分と
余白で表現していきます。
画面を埋め尽くすという
描き方も基本的にしません。
【水墨画入門】墨絵とは
墨を使った絵画全般を
指して言います。
墨の線だけで描いたもので、
白描画、仏画、そして水墨画も
その中の一様式でした。
日本では水墨画の
技法を使いながらも
“墨絵”と言ったり、
白と黒であれば
“水墨画”と言ったり、
くくりが結構曖昧です。
中国の水墨画と区別する意味で
『墨絵』と表現されてもいます。
線と面の違い ⇩ ⇩ ⇩
【水墨画入門】基本と道具
何度も繰返しになりますが、
どんな絵画表現でも
基本は大切です。
「水墨画を描きたい」
「この絵のこんな表現を
真似したい」
それならば
水墨画の表現に適した道具で
表現方法を磨くのが
一番の近道です。
表現が先か道具が先か?
わかりませんが、
千年以上の歴史の中で、
水墨画に適した道具が
改良を重ねながら
使い続けられてきたからこそ
その表現に適した最適の
動きが出来る。
つまり「理に適っている」
ということですね。
急がば回れ!
そして基本を学ぶのは
独学でも可能です。
【水墨画入門】独学か教室か
趣味の世界で楽しみたい!
趣味以上に上達したい!
などさまざまな考え方で
独学か教室かを悩まれると思います。
それぞれ性格的なものであったり
個人差がありますので、
一概には言えませんが、
私見で違いを書きたいと思います。
【水墨画入門】教室
基本的なことのみ
学んでいる初期については
この例ではありませんが、
教室で先生について学んだあと、
なかなかその画風から抜け出せない、
ということはよく耳にします。
日本は絵画に限らず、
カタチから入る教えが基本です。
基本を学んで
かなり描けるようになっても、
個性を確立するまでは、
ひと悩みもふた悩みもしなければ
なかなか脱皮は難しいようです。
そこで脱皮出来ずに
師匠の真似で終わってしまう人と
いかに個性を発揮して脱皮するかを
常々試行錯誤しながら学んでいる人
との差が生じることになります。
とはいえ
情報の共有も早いし、
目標を持って臨めば
基本を学ぶには
最適だと思います。
【水墨画入門】教室のカリキュラム
一般的に教室では
半年から1年のカリキュラムで
基本中の基本を学びます。
道具の扱い方から
お手本を観て臨画し、
その中で技法を
学んでいく流れです。
お手本は主に草花や
季節の食物など
やさしく単純に描けるものです。
そして少し道具の扱いに
慣れたころで作品に挑戦して
発表の場を作っていきます。
【水墨画入門】独学
独学では時間ばかりかかって
無駄が多くなる。
とよく言われます。
道具選びに道具の扱い方、
どんな手順で描いていけばよいか?
などなど
確かに基本中の基本は
先生について学んだほうが
効率が良いかもしれません。
ですが中には
「大勢の中で学ぶと
付いていけなくなるのでは?」
そんな不安で悩まれている
方もいらっしゃるかも
しれません。
独学ならば自分のペースで
無理なく学習していけます。
もう一つは時間です。
教室であれば当然、
曜日・時間が決められます。
スケジュールの合わせ方が
なかなか難しいかもしれません。
独学であれば
好きな時間に描けます。
そのかわり目標を持たないと
いつでも辞められるので
続かないということに
なってしまいます。
目標はとても大切な
初めの一歩です。
【水墨画入門】独学の魅力
独学には独学の悩みはありますが、
自分で悩んで自分で解決する以外に
方法はありません。
自分で課題を見つけて
克服していくのですから、
最初は時間はかかっても、
もっと能動的に学べます。
すべて心の持ちようです。
『描きたい!』と思う絵が
自分次第で描けるのも
独学の大きな魅力です。
【水墨画入門】独学の学習の流れ
独学者の場合は道具選びから
目標設定、そして発表の場まで
すべて自分で進めていきます。
大変そうに見えますが、
自分に合った参考書を
探して学習の流れをつかみます。
初心者用の参考書は
基本中心に書かれているので、
それほど差はありません。
あとは動画で筆の扱い方など
細かい所を学んでいく。
という方法もあり、
工夫次第で自由に学べます。
何と言っても
自分の自由な時間で
学習することが可能です。
大切なのはその後。
発表の場を持ちましょう!!
初心者であれば
大きな自信と次への
モチベーションアップが望めます。
アドバイスや感想をいただける
場であればもっと良いですね。
積極的にいただきましょう。
初心者の方のための初めの一歩
⇩ ⇩ ⇩
【水墨画入門】道具
水墨画の主な道具は
墨、筆、硯、紙 です。
初心者の道具の揃え方
⇩ ⇩ ⇩
独学の場合の道具選びは
「どうすればいいの?」
「専門の画材店は入りにくい」
といろいろ悩むと思います。
すぐに止めてしまわない限り、
しっかり選んだ道具は
一生ものです。
「何でもいいや」と
選んでしまっては、
描けるものも描けません。
それなりの絵になります。
高級でなくてもしっかりと
水墨画を描くのに適した
道具はあります。
例えば筆であれば
筆が描けるように
導いてくれます。
100均は100均だけの値打ちです。
筆に慣れている方なら
それはそれで使える道具に
なりますが、全くの初心者の方は
しっかりした水墨画用の筆で
描いていただきたいと思います。
道具選びも面白いものですよ。
自分のペースで進んでいきながら
少しずつ道具もレベルアップしてみる、
というのも楽しい行程です。
【水墨画入門】下描きについて
下描きやアタリは
基本的にしません。
理由としては、
気を大切にするからです。
気=勢いのことですね。
書道と全く同じです。
いきなり描くのが難しい場合は、
下描きも工夫して
出来るだけ勢いを失わないような
練習が出来ればいいですね。
下描きに頼りすぎて
しまわないことが大切です。
下描きとアタリについての記事
↓ ↓ ↓
学習方法としては、
単純なものを選び、
徐々に複雑なものへと
進んでいきます。
【水墨画入門】下絵について
そうは言っても
好きなものは早く描きたいし・・・
最初は真っ白な紙に筆を下ろすのは
勇気がいるし・・・
そこで下書きやアタリの他に
下絵を用意する方法もあります。
描きたい絵を鉛筆などで
完成させてお手本のように
使います。
なるべく単純にしたほうが
筆を使う時にイメージ
しやすいと思います。
鉛筆と筆とは扱いが
全然違いますから、
鉛筆書きした下絵は、
完成品をイメージさせるために
使います。
【水墨画入門】技法について
日本の水墨画は
中国をお手本に
学んでいったため、
名称からして難しそうです。
筆の扱いも慣れないうちから
技法名を言われても
なかなかすんなり
頭に入ってきません。
まずは筆に墨を仕込む方法を
しっかり実践していきましょう。
調墨法です。
技法を知ることは上達の第一歩
⇩ ⇩ ⇩
そして筆の持ち方、
腕の動かし方です。
運筆法です。
姿勢と運筆はコチラの記事へ
⇩ ⇩ ⇩
現代では筆を持つのが
とても珍しくなってきました。
鉛筆には鉛筆の
パステルにはパステルの
扱い方があるように、
筆には筆の扱い方があります。
『道具は慣れ』です。
基本には合理的な考え方が
詰まってますので、
独学といえどもそこは
しっかり押さえて
実践で感触感覚を覚えて
いきましょう。
この本は筆者のバイブル的な存在です。
筆の持ち方、構え方から
用筆、用墨はもちろん表現方法まで、
本来の書画一致の観点から
丁寧に解説されてます。
書から離れても扱う道具類は同じ。
現代水墨画を描かれる方にも
抑えてほしい内容です。
【水墨画入門】紙について
初心者の時の悩みに
紙の選択はあると思います。
特に独学の場合、
画材店でもあるいはネットでも
初心者によく使われているものを
選ぶことになると思います。
<水墨画用>とされているのは
楮紙、宣紙(中国紙)、
和画仙紙、などですが、
原料の配合によっても
微妙に書き味が変わってきます。
最初は悩まず「水墨画用」で
慣れていきましょう。
描けるものが多くなってきたら
自分に合う紙を
試してみたくなるものです。
作品にぴったりの紙に
出会う喜びも上達の証しのようで、
楽しい瞬間です。
【水墨画入門】独学の有名画家
歴史上有名な画家も
最初は試行錯誤で型を
学んでいます。
それから自分らしい表現を
あの手この手で見つけていくのは
どの時代の画家も同じです。
戦国時代から江戸時代までの
ほぼ独学の有名画家を
挙げてみたいと思います。
直接参考にはならないかも
しれませんが、
「あの有名な画家でも
そんな時代があったんだ!?」
と随分距離が縮まって
くると思います。
【水墨画入門】雪村周継
雪村周継は室町時代後期の禅僧。
関東を中心に活動しその画風は、
極めて独自性の高いものです。
雪舟を深く尊敬していたようですが
画風への影響は受けていません。
師匠にはつかず、模写で
画力を磨いていきました。
誰の真似でもない
雪村しか描けない
近年注目の水墨画家です。
【水墨画入門】俵屋宗達
江戸時代初期頃活躍した
町衆出身で生没年不明の謎の絵師です。
扇屋を営んでいたため
扇面という特殊な画面を
効果的に使った絵画を残しています。
古画の修復を手がけたことも
作画に影響を与えているのかも
しれません。
作風はデザイン的で
空間の使い方が素晴らしく、
自由奔放な描き方です。
【水墨画入門】尾形光琳
宗達より100年後の元禄時代に
活躍した絵師です。生家は大呉服商
光琳は幼い頃から着物、工芸品など
美しいものに囲まれて育ったので、
技法よりも感覚的に優れた才能が
あった絵師です。
もちろん環境からくる影響は大きく、
有名な『燕子花図屏風』は
着物のパターンを効果的に使って
描いています。
生前から人気のあった絵師ですが、
本格的に絵師の道を歩み始めたのは
40歳を過ぎてからです。
生活の為にプロになった方ですが、
自分の強みを最大限に発揮して
様々な技法に挑戦しています。
【水墨画入門】伊藤若冲
若冲は鶏の絵ですっかり
人気ものになりました。
最初は中国の画を
模写することで学び、
やがて庭に鶏を放し飼いにして
観察することを重ねていきます。
敬虔な仏教徒で
“草木国土悉皆成仏”が
彼の絵のすべてに通じています。
「動植綵絵」のどの作品も
動植物ひとつひとつに
スポットライトが当たっていて
ちょっと息がつけないほどの
目一杯感があります。
着彩画だけでなく
水墨画、版画など
あらゆる画法に挑戦しています。
特に水墨画では
それまで邪道とされていた
“筋目書き”を極めています。
【水墨画入門】円山応挙
江戸時代、庶民出身としては
最も有名な絵師ではないでしょうか。
狩野派を学んでいますが、
眼鏡絵を扱う店に奉公し、
そこで西洋の遠近法を学びます。
その後ほとんど独学で
写生を重んじた絵師です。
弟子も千人を越えたと
いうことです。
細密画に近い緻密な画
かと思いきや
写意を大切にした略画が
特徴でもある絵師です。
【水墨画入門】与謝蕪村
江戸時代中期頃の南画家で俳人。
俳画のジャンルを確立。
この頃の京のお寺は
さながら美術館や博物館に
匹敵するくらいの寺宝の数々を
観ることが出来ました。
蕪村は模写をして回り、
画力を高めていきました。
また旅によって五感を磨き、
南画を習得していきました。
文人画としては
邪道といわれる方法で
描かれている作品もあります。
【水墨画入門】水と墨を操る
中国での水墨画の始まりは、
山水画の一つの技法としてですが、
そののち着色画を凌ぐ勢いで
水墨画が主流になっていきます。
その発端が『撥墨法』です。
『撥墨法』とは、
完成した作品よりも、
その制作過程を見せる
いわゆるパフォーマンスアートの
はしりだったようです。
画面に墨をぶちまけ、
体のあちこちを使って
墨を擦り付ける。
その墨の偶然な形を利用して
最後にちょっと筆を加えると、
それが山やら楼閣やらに
見えてくる。
それまでの絵画表現を
一変するような表現に
その時代の人々は
目からウロコだったに
違いありません。
まさに水墨画は
水と墨が織りなす
偶然性の表現方法なのです。
【水墨画入門】自由な発想で
明治の時代に西洋画が入って
水墨画もすっかり
西洋画化して今では
それが主流になっています。
日本は常に時代に翻弄されながら
うまく模倣から日本風に
変化させて継承してきました。
邪道と言われても
構わず極めた達人がいます。
あなたにとって
「水墨の世界だ!」
と感動するのは
どのような絵画でしょうか?
是非、基本を学んで
自由な発想で
水墨画の世界を楽しんでください。
まとめ
いかがでしたか?
水墨画はとってもシンプルなので、
道具が揃えばいつでも
「簡単に」描くことは出来ます。
でも思い描いた絵が描けるかどうかは
基本を大切にした稽古が必要に
なってきます。
最初は道具に任せて
偶然性を楽しんでみるのも
方法かと思います。
1.基本の道具も技法も「良く描けるために」 理に叶ったもの。
1.独自の画風のためには 邪道も厭わない絵師たちがいた
I am truly grateful to the owner of this web site who has shared this enormous article at at this place. Rosalia Rafe Gazzo
Thank you for reading my blog.