こんにちは 水墨画家のCHIKAです。
「誰でも素晴らしい絵が描けるように」
という願いから作られた画の教科書が
あります。
あの葛飾北斎も、この本をボロボロに
なるまで活用したといいます。
「芥子園画伝」とは、どのような本
なのでしょうか?
また、水墨画に与えた影響も
見ていきたいと思います。
どのような背景で生まれた本?

中国は明から清に移ろうとする頃、
(17世紀後半)
民間の文化ブームの中から誕生します。
それが、「芥子園画伝」です。
当時の文化人・李漁(りぎょ)が
プロデュースして出版されました。
それまで絵は「師匠から弟子へ」と
直接教わるものでした。
しかし、この本には、
技術を独り占めせず、
「誰もが自由に素晴らしい絵が
描けるように」との願いが込められています。
中国絵画の技法を体系化して、
わかりやすく解説した画の教科書です。
一般の知識人や絵が好きな人たちの
「もっと上手くなりたい!」という欲求に、
熱狂的に受け入れられました。
「芥子園」というのは、
李漁の家の庭の名前です。
「芥子(からしな)の種のように小さな庭」
という意味らしいです。
芥子園画伝の内容

主に次の内容です。
●基本技法(皴法・描法)
水墨画の基礎→描き方、筆遣い等
●モチーフ別の描き方
山水、梅・竹・蘭・菊、建物、人物等
●伝統の模範
歴代の名画家の作風をお手本
●カラー印刷の導入(当時、画期的)
色彩の使い方も視覚的に伝えている。
水墨画はどう紹介されている?
芥子園画伝の中には、
水墨画の描き方も紹介されています。
主に、四君子のそれぞれの描き方
蘭: 線を引く練習
竹: 筆の勢いの練習
菊: 花びらの構成の練習
梅: 枝の曲がりの練習
この4つをマスターすれば、
どんな絵でも描けるようになる、と、
ステップアップの基礎として
紹介されています。
▶竹の描き方を紹介している記事はこちら⇩
日本に与えた影響
一言で表現するなら、
「これ一冊あれば独学で、
プロ級の中国画が描ける」
その当時の島国日本は、
外から入ってくる情報は、
限られています。
本場の中国の絵描きたちは、
どんなふうに学び、
どんなふうに作品を描いているのか?
江戸の絵師たちは、むさぼるように
学び、模写し、自分のスタイルに
取り込んでいきました。
日本の水墨画への影響

それまでの日本の水墨画は、
古い型を守る傾向がありました。
しかし、この本が広まったことで、
「南画(なんが)」という新しい
ジャンルが大流行します。
池大雅、与謝蕪村、谷文晁に
代表されます。
「形をそっくりに描くよりも、
自分の心やリズムを大切にする」
という中国流の自由な精神が日本に伝わり、
より個性的でのびのびとした水墨画へと
進化していきました。
日本美術史にとって、
大きな大きな意義のある教科書です。
まとめ
いかがでしたか?
水墨画の本場から渡ってきた
日本の絵師、画家にとっては
かけがえのない教科書のお話でした。
▶この記事では、
中国から日本へ渡ってきた
水墨画の歴史を振り返って
やさしく解説しています。⇩
日頃のお稽古のヒントになれば幸いです。






