水墨画のお手本、いつまでも「そっくり」に描いていませんか?

こんにちは 水墨画家のCHIKAです。

水墨画を練習するとき、
多くの方がお手本を使います。

最初は、美しく完成されたお手本を見ながら、
「こんな風に描いてみたい」
と、一生懸命まねをします。

もちろん、それは大切な練習です。

けれど、少し慣れてきたら、
「お手本をそっくりに描く」
それだけでは、もったいないです!

お手本には初心者が基本を学ぶだけでなく、
少しずつ“自分の表現を広げていくための
使い方”があります。

今回は、
初級から中級手前くらいまでの方に向けて、
そんな「お手本の使い方」を考えてみます。

お手本の前に、まず「線」の練習を

お手本を見ながら描く前に、
ひとつだけ準備しておきたいことがあります。

それは、
筆を思い通りに動かすための「線」の練習です。

線が安定してくると、
「形をどう描くか」に集中しやすくなります。

もし「線がうまく描けない」
「筆の動かし方がよくわからない」という方は、
こちらの「7日間で線が安定する練習シート」
から始めてみることをおススメします。

DAY1から少しずつ進めながら、
線・止め・払い・筆圧など、
水墨画の基本を練習できます。

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お手本を描く前の、ちょっとした
準備運動のようなものです。

さて、線の練習ができたら、
いよいよお手本を使って描いてみましょう。

【水墨画】お手本どおり、「形」をまねする

水墨画を始めたばかりなら、
まずはお手本をよく見て、
形をまねしてみましょう。

この時点のお手本には、

①筆を置いて形になるもの

②〇△▢の単純な形のもの

③茶碗や鉄瓶などの「静物」

が、おススメです。

花や鳥に比べると、
丸や四角、円柱など、
形を捉えやすいものが多くあります。

初心者のうちは、
「この線はどこから始まって、
 どこで終わっているのか」
「筆の構え方はどうするのか」
を確認しながら描いてみてください。

ここでは、まだ
「自分らしく描こう」としなくても大丈夫です。

まずは、

筆を動かすこと
形をつくることに慣れる。

それが最初の段階です。

こうしたシンプルな題材だからこそ、
形を確認しながら、
・中鋒、側鋒
・調墨
・筆圧
・墨の濃淡
といった水墨画の基本が、練習できます。

【水墨画】次に「墨の濃淡」を見てみる

形が描けるようになってきたら、
次は墨の濃淡に注目してみましょう。

水墨画では、同じ黒でも一色ではありません。
・濃い墨(濃墨)
・少し薄い墨(中墨)
・さらに薄い墨(淡墨)

その変化によって、
ものの立体感や奥行きが生まれます。

たとえば、茶碗を描く場合、
「どこが濃くて、どこが淡いのか」
「線の太い、細いにも濃淡があるか」
を、お手本と見比べてみます。

この段階では
「何を描いているか」だけでなく、
「どういう濃さの墨で描いているか」
を見ることがポイントです。

【水墨画】お手本の「筆の動き」を観察する

次は、お手本の線そのものを観察してみましょう。

同じ線に見えても、
● 筆圧は強いのか、弱いのか
● 筆は速く動いているのか、ゆっくりなのか
● 中鋒なのか、側鋒なのか
● 線の始まりと終わりはどうなっているのか

よく見ると、いろいろな情報があります。

「お手本の線を描く」のではなく、
「この線は、どうやって生まれたのだろう?」
と考えてみる。

これが出来るようになると、
お手本の見え方が変わってきます。

【水墨画】お手本を少しだけ変えてみる

ここまで出来るようになったら、
いよいよ「まね」から一歩出てみましょう。

たとえば、お手本と同じ茶碗を、
「もう少し淡い墨だけで描いてみる」
「輪郭を少なくしてみる」
「側鋒を強く使ってみる」
「一部だけを描いてみる 」

形は同じでも、
・筆の使い方
・輪郭線の使い方
・墨の濃さ
を変えると、
印象はかなり変わります。

また、お手本と違うところを見ることも、
練習になります。

「なぜここは違って見えるのだろう?」
「筆圧が違うのかな?」
「墨が濃すぎたのかな?」
「線のスピードが違ったのかな?」

その視点を持つことで、
自分の描くクセや特徴が
見えてきます。

ここから少しずつ、
「お手本を写す」から「お手本から学ぶ」
へ変わっていきます。

▶こちらでは、水墨画が上達する人の
練習法について、お伝えしています。👇

同じモチーフを何度も描く意味|水墨画が上達する人の練習法

【水墨画】「描くもの」を増やさなくても上達できる

少し経験がついてくると、
「もっと難しい絵を描かなければ」
と思うことがあります。

でも、上達とは
「描くものを増やすこと」だけではありません。

むしろ、
何を描かないかを考えることも、
水墨画では大切です。

お手本に三つの要素があるなら、
👉 一つ減らしてみる。

背景があるなら、
👉 無くしてみる。

線が何本もあるなら、
👉 一本だけ残してみる。

すると、余白の存在が見えてきます。

描かれていない場所も、作品の一部なのです。

【水墨画】構図が決まっているお手本も、実は練習しやすい

「自由に描いてください」
と言われると、初心者の方は、
「どこに描けばいいんだろう?」
と迷ってしまいます。

そんなときは、丸や四角など、
ある程度、構図が決まっている
お手本も役立ちます。

たとえば、
●大きな丸の中に、月と五重塔
●四角い画面の中に、一本の竹

描くものが少なくても、
枠があることで、画面全体が
まとまりやすくなります。

これは、単に「簡単だから」
というだけではありません。

描くものを絞ることで、
一本の線や墨の濃淡に集中できるからです。

【水墨画】お手本は「卒業」するものではなく、使い方を変えるもの

1. 初級のうちは、お手本をしっかりまねする。
👇
2. 少し慣れてきたら、筆や墨の使い方を見る。
👇
3. 自分なりの描き方を試してみる。
👇
4. 構図や余白を考える。
👇
5. お手本から離れて、
  学んだことを使ってみる。

このように考えると、
一つのお手本を何度も使う意味が見えてきます。

一回描いて、
「できた・できなかった」
で終わらせるのは、もったいないです。

【水墨画】「先生の答え」から「自分の練習道具」へ

水墨画のお手本は、
「完成した絵を見るため」
だけのものではありません。

そこには、
「この線は、どうやって描いているんだろう?」
「この濃淡は、どうやって作ったんだろう?」
「なぜ、ここに余白があるんだろう?」
という、
たくさんのヒントが詰まってます。

「写す」→「観察する」→「試す」
→「自分の表現」

という風に、
お手本との付き合い方を
変えていきましょう。

最初は先生の答えだったお手本が、
やがて、
自分の筆を育てるための練習道具
になっていく。

そんなふうに、お手本を使ってみてください。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、初心者から中級者手前の方に向けて、
お手本の考え方、使い方を段階的に
お話ししました。

①お手本をまねる
②お手本を変化させる
③お手本から離れて自分の表現へ

日頃のお稽古の参考になれば幸いです。